多くの家庭で相続財産の大部分を占めるのが不動産。"争族"や空き家などトラブルのもとになることも少なくありません。親が元気なうちに、相続する人や処分まで含めて話し合っておく必要があります。
資産価値の高い不動産だと、きょうだいの"争族"の原因となる場合があります。一方、遠方の実家に一人で暮らす親が亡くなると、実家が空き家になることも多いです。
近年、相続などにより発生した空き家の数が急増しています。空き家を放置しておくと、火災や家屋の倒壊、衛生上の問題などで近隣の住民への迷惑になりかねません。
そこで2015年には「空き家対策特別措置法」が施行され、空き家の適切な管理が義務化されました。問題のある「特定空き家等」に指定されると、管轄地の自治体は「助言・指導」「勧告」「命令」などの行政権の発動が可能になります。命令に従わないと50万円以下の過料が科され、その後も改善されなければ、自治体は所有者に代わって家屋を解体し、所有者に費用を請求する「行政代執行」を行うことができます。
今後は同法を改正し、特定空き家予備軍も「管理不全空き家」に認定して行政の指導の対象とするようになります。
空き家を相続した人には固定資産税や水道光熱費、火災保険料などの維持費がかかります。さらに、適切な管理を行うために定期的に足を運ぶか、空き家管理サービスを使うといった対応が求められます。
このようにトラブルのもとになりやすい不動産は、親が亡くなった後にどうするのか、きょうだいの誰が引き継ぐのかを、家族で話し合って決めておく必要があります。実家が空き家になるのであれば、売るのか貸すのかといった処分も含めて検討しなければなりません。
親が存命中に、親の所有する不動産に対する思いや、子供にどうしてほしいのかも聞いておく。子供の一方的な都合で親が存命中に売却や引っ越しを決めると、親が感情的になり、話がこじれてしまうことがあります。
資産価値の高い実家なら、きょうだいが共有名義で持ち分を平等に相続するという考え方もあります。しかし、共有名義の不動産は将来に禍根を残すこともあります。例えば共有名義だと、リフォームや賃貸、売却などを独断で決めることができません。また、この先、きょうだいからその子供へ、さらにその子供へと承継されていくことになり、時代が下るほど共有者の意思疎通が難しくなります。
居住用や事業用の土地を相続する際には「小規模宅地等の特例」という制度があり、条件を満たせば一定面積までの土地の評価額を最大80%減らすことができます。相続税がかかりそうな家庭は、条件に該当するなら利用を検討しておきたいものです。
特例を利用する際に気を付けたいのが、きょうだい間の気持ちの行き違いです。
不動産を承継しなかった子供は『一人だけ破格の条件で家をもらってずるい』と感じるかもしれません。親が存命中に親も交えて話し合い、不満が残らないようにしておく必要があります。
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