
住宅金融支援機構が2025年6月27日に公表した「住宅ローン利用者の実態調査」によると、住宅ローンの返済期間は「30年超~35年以内」が最も多く、全体の45.8%を占めていることが分かりました。
特に「40年超~50年以内」の超長期ローンを選択している層も徐々に増加傾向にあります。
調査結果によると、返済負担率は「15%超~20%以内」が24.3%と最も多く、次いで「10%超~15%以内」(21.2%)、「20%超~25%以内」(18.0%)と続いています。これらを合計すると、返済負担率が「10%超~25%以内」の範囲に約6割の住宅ローン利用者が集中していることになります。
返済負担率とは、年間の住宅ローン返済額が年収に占める割合のことで、家計における住宅ローン返済の負担度を示します。。数値が高いほど住宅ローンの返済負担が大きいといえます。
一般的に住宅ローンの返済負担率は25%以下が望ましいとされることが多いのですが、調査結果によると「25%超」の返済負担率で住宅ローンを組んでいる利用者が全体の約2割を占めています。中でも返済負担率が「35%超」という高負担層が5%ほど存在します。
こうした層は収入に占める住宅ローン返済の負担が重く、普段の生活費や突発的な出費への対応が難しくなる可能性があります。
50年を超える超長期ローンの増加傾向と、返済負担率が25%を超える層が2割ほど存在することは、現代の住宅購入事情の厳しさを反映しています。
高騰する住宅価格を前に、多くの人は返済期間を延ばすことで月々の返済額を抑え、手の届く価格帯の住宅を購入しようとしているのではないのでしょうか。しかし、返済期間が長くなるほど支払う総利息は増加し、生涯における金銭的負担は大きくなります。
また、返済負担率が高いと家計の自由度が低下し、ライフプランの変更や収入減などのリスクに対する耐性が弱まる恐れがあります。特に近年の物価上昇や金利上昇局面では、こうした高負担率の返済計画を立てる際には、将来的なリスクを十分鑑みる必要があるといえるでしょう。
住宅ローンを検討するにあたって、調査結果から参考にできるポイントとして、
1.返済負担率を25%以下に抑える計画を立てる…収入に対して無理のない返済計画を立てることで将来的な金利上昇や収入減少などのリスクに備える
2.超長期ローンのメリット・デメリットを理解する…月々の返済額は抑えられるが、総返済額が増加することを理解した上で判断する
3.繰上返済の可能性を考慮する…長期ローンを組んだとしても、余裕がある時に繰上返済をすることで総返済額を減らす戦略も検討する価値がある
4.ライフプランと合わせた返済計画を立てる…子どもの教育費がかさむ時期や自身の退職時期などを考慮して、ライフステージに合わせた返済計画を立てることが重要
住宅ローンは人生最大の支出ともいえる重要な判断です。ほかの利用者の動向を参考にしつつも、自身の家計状況やライフプランに合わせた無理のない計画を立てることが何よりも大切です。

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